“小さな手”

poem|2016/06/14 posted.
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はじめてあなたの小さな手に触れたのはあなたがうまれた日

今まで感じたことがない苦しさに怖さでいっぱいだったあの日

柔らかく温かい小さな手はそっとわたしを励ましてくれました

 

それからずっとずっと小さな手は

わたしをぎゅっと握り一緒だったね

 

寝る間もなくミルクをあげていたときも

涙がとまらないときも

得意げにたちあがったときも

毎日のように公園に行くときも

ずっと小さな手はわたしをママにしてくれました

 

はじめての幼稚園

小さな手はバイバイとタッチして離れていきました

 

今小さな手は何をしているかな?

涙をふいていないかな?

何で遊んでいるのかな?

お友達と手をつないでいるかな?

お弁当食べているかな?

 

私のかわいい小さな手

はやくはやく帰ってきてくれないかな

 

 

hidakaの出産はとても大変なものでした。かねてより痛いことが怖く無痛分娩を希望していたわたしは、痛みに関しては他のママたちよりも軽く考えていたことを覚えております。

予定日が一週間過ぎ、何とか帝王切開をまぬがれたかった私は歩きまわりようやくきた陣痛。

無痛の麻酔も効き、先生も「いい陣痛がきてますね。」と言ってくれ安心していた時、羊水に異常がありました。

赤ちゃんもおなかのなかで弱ってきてしまっていると伝えられ、急に緊急の帝王切開をすることに。

状況が一変し、帝王切開の危険性を話され、サインし手術室へ。

「何も心配いらないから。先生にお任せしよう。」と言う夫と離れ一人手術台に横になりました。

冷たい無機質な空間

消毒液の臭い

気がつくとブルブル震えぽろぽろと涙が止まらなくなっていました。

怖いんです。

でもお腹の赤ちゃんも頑張っている。ママになるんだと覚悟を決め目をつぶりました。

 

おなかの違和感とともに「産まれました!」と赤ちゃんが運ばれて行きました。

遠くのほうで泣き声が聞こえホッとして涙が溢れました。

 

次の瞬間、目が覚めました。

そこはもう病室らしきベッドの上。

暗い部屋。暑く息苦しい。苦しい。痛い。痛い。足が動かない。感覚がない。怖い。怖い。

どうしてこんなことになっているんだ。

赤ちゃんは傍にいなかったのです。

 

「かわいかったよ。」と目を細め喜ぶ夫。

「がんばったね。もう大丈夫だよ。」という自分の母親。

嬉しさとか安心したとか温かい気持ちとかは一切なかったんです。

どうしてわたしだけこんなことになっているんだという孤独感。

こんなに苦しくて回復できるのかという恐怖。

わからないんです。こんな思いしたことないんです。

そして赤ちゃんが傍にいないんです。

目が冴え興奮している状態で眠れないんです。安心できないんです。

 

そんな冷たくていつ明けるともわからない長い孤独な夜。

看護師さんがふと温かいふわふわしたものを横に置いてくれました。

とっても温かいんです。柔らかいんです。

もしかしてとみると自分によく似た赤ちゃんでした。

それがわたしとhidakaがはじめて出逢ったときです。

手をのばし小さな手に触れました。

 

今までの冷たい気持ちはどこにいってしまったんでしょう。

心の奥深くまで温かい気持ちでいっぱいになりました。

 

その小さな手はまだ生まれたばかりなのに私を励ましてくれたんです。

「あぁ。この子の為に早く元気にならないと・・・」と思いました。

 

今でも元気がなくなったとき、辛いとき、悲しいとき、hidakaの手をそっと握ります。

小さな手でわたしにいっぱい元気をくれます。

 

これからもいっぱい色んなことを勉強し、たくさん遊んで大きくなる小さな手

いつまでもわたしのかわいい手です。

 

 

お読みいただきありがとうございます。

 

 

 

 

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